新型コロナウイルス情報
2021年10月29日 木村ー黒田純子
新型コロナワクチン 誤情報・フェイク情報について
新型コロナウイルス(以下新型コロナに省略)は、現段階では国内の感染拡大が止まっているようにみえるが、今後また感染が広まる可能性もあり、油断できない。
国内では新型コロナワクチン接種が進んでおり、ワクチンにより感染拡大を止めていると考えられているが、ワクチン接種による重篤な副反応や死亡例が実際起こっていることが厚労省から報告されている。
政府や厚労省は、これらの副反応や死亡例について、詳しい検証はしておらず、正確な情報を提供しているとはいいがたい。
JEPAニュース131号に記載したが、1000名を超す接種後の死亡例は、ほとんどが因果関係が評価できないとされ、一件も補償されたケースはない。
一方で、ワクチンについてはたくさんの誤情報、フェイク情報が氾濫している。新型コロナは新しいウイルスで、しかも実施されているワクチンも遺伝子ワクチンという新しいタイプなので、未知のことが多々ある。
本当に正確な情報は今後長い検証が必要だが、現時点で明らかになっている科学情報を届けたい。
私は、ウイルスの基礎研究(日本脳炎ウイルス、エイズウイルス)を約20年間行ってきた経緯があり、その立場から情報を発信しているが、今後新しい科学的知見が出る可能性があることをご了承いただきたい。
以下、厚労省で発表された新型コロナワクチン(ファイザー、モデルナのmRNAワクチン)に関する誤情報の資料だが、あまりに省略しており、これで納得できない点について、以下記載する。
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000829138.pdf
1.遺伝子組換え技術が使われており、ワクチン接種により遺伝子(染色体)に変化を生じさせる。
追記:厚労省の説明では、mRNAからDNAにが作られることはないとされているが、全く可能性がないわけではない。
JEPAニュース129号に記載したが、新型コロナ感染培養細胞や感染患者のDNAに、低い頻度だが新型コロナの一部のRNA(核蛋白)の組み込みが見つかるという新たな論文*1がある。
新型コロナRNA がヒトDNAに組み込まれるには、逆転写酵素(RNA → DNA)が必要だが、ヒトの細胞ではこの酵素は通常働いていない。ヒトDNA にはレトロトランスポゾン*2と呼ばれる逆転写酵素を含む遺伝子配列が多く存在するが、通常機能が抑えられている。しかし稀に逆転写酵素が活性化することがあり、新型コロナ感染でそれが起こり、新型コロナの一部のRNA がヒトDNA に入ったと論文の著者は考察している。組み込みは一部のRNAなので、ウイルス粒子が産生されることはない。新型コロナ感染では、回復後も長期にPCR 検査で陽性が続くことがあり、これはその原因を示しているだろうと著者らはいう。ただし、これはウイルス感染によるもので、ワクチンで起こることを示したものではない。私たち人間のDNAに、ウイルスの遺伝情報が組み込まれる可能性は、ウイルス感染の方がよほど可能性が高く、ワクチンで起こる可能性は低い。
*1:Zhang et al. Proc Natl Acad Sci U S A, 2021;118(21).
*2:逆転写酵素の遺伝子配列を持つレトロトランスポゾンは、ヒトDNAに多く存在し、レトロウイルス由来(内在性ウイルスを含む)のLTR型とレトロウイルス以外のnon-LTR型がある。前号では内在性ウイルスのみ記載したが正確には多種類あり、そのなかでもnon-LTR型のLINE1(ヒトDNAの約17%)は感染症やがん疾患などで活性化されることがあり、新型コロナとも関連する可能性が報告されている。
2.ワクチン接種が原因で多くの方が亡くなっている
追記:JEPAニュース131号の記事で記載したように、厚労省の発表では9月12日時点でファイザーでは約1億228万回接種中、死亡例1157件、モデルナでは約2345万回接種中、死亡例は33件と報告された。これを多いと評価するのか、少ないと評価するのか、考え方に相違がある。
少なくともインフルエンザワクチンでは、厚労省資料によると2018年度ワクチン接種者約1700万人中死亡例は3例(因果関係は確認されていない)で、100万人当たり0.18人だ。新型コロナワクチンでは100万人当たりファイザーで17.2人、モデルナで2.4人と報告されており、明らかにワクチン接種により亡くなった方がいる可能性は否定できない。
もちろん、人間は何らかの原因で死亡することは常にあり、たまたま新型コロナワクチン接種後に死亡した例はあるだろうが、若い死亡例も複数報告されており、新型コロナワクチン接種後の死亡例は無視できない。
両ワクチンの副反応に対する補償は、厚労省が8月にアナフィラキシーなどで29名に認めたが、死亡例は「因果関係が認められない」が8件、「評価できない」が1183件としており、補償されたケースは1件もない。また接種後に心筋炎、心膜炎がファイザーで129例(40歳未満36例)、モデルナで51例(40歳未満41例)と若い男性中心に起きており、10月15日、厚労省は若い男性のモデルナ接種に対して注意喚起を発表した。現在、全体の評価としてワクチンのベネフィットはリスクを上回るとする見解は理解できるが、ワクチンは健康な人に接種するものだから、より高い安全性が求められるのは当然であろう。
なぜワクチン接種で死亡例が出るのか、明白な理由はわかっていない。体格の小さい日本人に欧米人と同じワクチン量では多すぎるとの専門家の指摘*3は一理あるが、国内では検討されていない。免疫を誘導するのに一定量の抗原が必要と説明されているが、副反応が多いなら、ワクチン量は検討されるべきではないか。とくに12歳以上の子どもも同じ量であるのは問題に思える。
ファイザーやモデルナのmRNAワクチンで起こる心筋炎・心膜炎については、ワクチンが産生するスパイク蛋白自体が有害事象を起こす可能性が指摘されている。動物実験でスパイク蛋白の遺伝子を投与すると、産生されたスパイク蛋白が単独で、肺や血管内皮細胞に損傷を起こす可能性*4が報告されている。新型コロナ感染症では、血栓や心疾患が報告されており、スパイク蛋白が心筋炎・心膜炎に関与している可能性は十分あるが、ワクチン接種で常に起こってはいないので、遺伝要因も関連しているのだろう。またこれが事実なら、感染によってつくられるスパイク蛋白はワクチンに比べて極めて多いので、ワクチンだけを恐れるのではなく、感染に十分注意しなければならない。
*3:上昌広「コロナワクチン副反応で無視できない重大事実」(東洋経済オンライン)
*4:Lei Y et al. Circ Res. 2021; 128(9):1323-1326.
3.ワクチン接種が不妊症の原因となる
追記:JEPAニュース128号に関連情報を記載した。以下引用。
スパイク蛋白の遺伝子と、ヒトの胎盤形成に必要なシンシチン-1蛋白の遺伝子に類似性があるので、新型コロナワクチンが女性の不妊を招くという怪情報が巷にある。調べてみるとアミノ酸5、6つの配列のうち3、4つ相同するが、この程度の類似性は多種類の蛋白質間でも見つかるもので、特異的なものではない。従って、新型コロナワクチンがシンシチン-1に対する免疫反応を起こす可能性は低く、それを裏付ける論文*5もある。実はシンシチン-1は内在性レトロウイルス由来の蛋白だが、コロナウイルスとは全く違う。
*5:K loc M, et al. Biology 10(3), 238( 2021)
4.ワクチン接種が流産の原因となる
厚労省の解説以外の情報はない。
https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/0027.html
妊娠中の新型コロナ感染は、重篤になることも報告されているが、妊娠中は免疫系も通常と変わるので、信頼できる担当医とよく相談することが必要だろう。
5.ワクチン接種により不正性器出血(不正出血)や月経不順が起こる
厚労省は、ワクチンが直接不正出血や月経不順を起こすことはないとしているが、実際ワクチン接種後に不正出血や月経不順が起こることが多々あるようだ。ワクチンは免疫系だけでなく、内分泌系にも影響を及ぼす結果と考えられる。海外の政府米国CDCをはじめいくつかの国ではこの件につき、影響を評価しようとしている。日本でも、検討課題として取り上げるべきではないか。
https://covid19.nih.gov/news-and-stories/covid-19-vaccines-and-menstrual-cycle
6.ワクチン接種で接種した本人や周囲の人が コロナウイルスに感染する
厚労省の情報通り、遺伝子ワクチンには、新型コロナのスパイク蛋白の遺伝子のみ含まれており、ウイルスが放出する可能性は全くない。ワクチン接種で、シェディングなどにより周囲が被害を被るという情報が氾濫しているが、これについては別途記載予定。
7.ワクチンを接種した人が変異株に感染すると重症化しやすい抗体依存性感染増強 ADE になりやすい
私自身、ウイルス研究をしてきた際、デングウイルスでADEを実験で確認してきた体験もあり、新型コロナでもADEが起こる可能性があると注視してきた。新型コロナ類似のSARSや猫コロナのワクチン候補でも、ADEが確認されて、ワクチンの続行が不可となった経緯がある。また新型コロナ感染後に産生される抗体でも、一部にADEを起こす抗体が存在することも報告*6されている。しかし、現段階では新型コロナワクチンで、ADEを起こす実例は確認されていない。ワクチン接種で一部ADEを起こす抗体が産生されたとしても、中和抗体が多く産生されれば、問題ないと考えられる。ただし、2回接種で問題がなくても、3回、4回とブースター接種でADEが起こる可能性は否定できない。スパイク蛋白にはADEを起こす抗原部位が確認されているので、そのような部位を除いたワクチンの開発が必要ではないかと考えられる。
*6:https://www.amed.go.jp/news/release_20210525-02.html
新型コロナウイルスの感染を増強する抗体を発見―COVID-19の重症化に関与する可能性―
8.通常の臨床試験治験 のプロセスが省略されている
ファイザーやモデルナワクチンは第3相までの治験は終了していることがWHOにおいても確認されている。ただし臨床治験が終了していたとしても、これまでにも医薬品で後から副作用が出てくることもある。現在さらなる治験が継続していることは確かだが、プロセスが省略されているわけではない。
9.臨床試験治験 が終わっていないので安全性が確認されていない
8番の質問と同様、3相までの治験は終了しているが、さらに安全性を確認する治験が継続している。
治験については問題がないと理解しているが、今回のワクチンは副反応が強くでるケースがあり、日本でも副反応を適切に把握して、より安全なワクチンを目指すべきと考える。
以下、参考。
https://news.yahoo.co.jp/articles/ae7adca308a434795e1e54ecf1428a87f0bb595b?page=1
https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/0082.html
10.動物実験でワクチンを接種した全ての動物が死んでいる
マウスやラットの寿命は約2年で、ワクチンを接種した個体でも、接種していない個体でも、約2年で死亡する。また前述した、SARSのワクチン候補をフェレットに接種したところ、ADEが起こり、高率に死亡した例がある。これが新型コロナワクチンで起こったと誤解されているようだ。SARSと新型コロナは似ているが、別のウイルス。新型コロナワクチンでは現在ADEは確認されていないが、3回、4回と接種するとADEを起こす可能性はあるので注意が必要だ。
新型コロナウイルスについて ダイオキシン環境ホルモン対策国民会議ニュースレター
2020年6月 新型コロナウイルス感染重症化は免疫の暴走? JEPAニュース 新型コロナウイルス全般の説明と感染症の概要ダウンロード
2020年8月 新型コロナウイルスについての新情報 JEPAニュース 感染経路、有効な予防・消毒法、後遺症などダウンロード
2020年10月 新型コロナウイルス―ワクチン問題とパンデミック後の世界の動向 JEPAニュースダウンロード
2021年3月 新型コロナウィルス対策 の「消毒」について の JEPA の見解 消毒剤乱用の危険性 ダウンロード
2021年2月 新型コロナワクチンは安全か JEPAニュース127 ダウンロード
2021年4月 新型コロナウイルス ワクチン、PCR検査、消毒剤の問題点 ―基礎研究者の視点から JEPAニュース128 ダウンロード
2021年6月 新型コロナウイルス ―変異株の流行、無症状感染者からの感染、ワクチンの副反応 JEPAニュース129 ダウンロード
2021年10月 新型コロナウイルス―感染の動向とワクチンのリスク JEPAニュース131 ダウンロード
2022年8月 新型コロナウイルス―変異株、後遺症、ワクチン、今後の課題 JEPAニュース136 ダウンロード
2023年4月 新型コロナワクチンの追加接種は必要か? JEPAニュース141 ダウンロード
新型コロナワクチンによる後遺症
新型コロナワクチン後遺症
新型コロナワクチン接種後数日で起こる発熱、倦怠感、疼痛など以外に、心筋炎・心膜炎が若い男性中心に起こることが、厚労省でも確認している。接種後の死亡例がかなり多いことも判明した。しかし、それ以外にワクチン接種後もっと後から、慢性の倦怠感、痺れ、眩暈などが起こる例が、臨床医から報告されている。しかも、高齢者ではなく若い世代に多く、治療が困難で、日常生活ができなくなるケースがあるという。このようなワクチン後遺症がどれぐらいの人数いるのか、実態がまだ不明だが、これが事実なら適切な対応が必要だ。新型コロナ感染も多様な後遺症が確認されているが、ワクチンで重篤な慢性影響が出るなら、ワクチン接種を若い世代、さらに子どもにもすすめて良いとはとても考えられない。
このようなワクチンによる後遺症の原因は全くわかっていないが、自己免疫疾患を起こしている可能性が考えられるが、現在明らかになっていない。原因はわからずとも、後遺症に苦しむ人が多いなら、ワクチン後遺症について今後政府・厚労省や関係者が取り組むべき課題だ。
参考:
「ポストコロナワクチン症候群」は存在するか 2021/09/22 谷口 恭(太融寺町谷口医院)
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/taniguchi/202109/572000.html
新型コロナは感染力が極めて高く、軽症、無症状が多い一方で、重篤になると死亡に至り、後遺症も残る厄介な感染症だ。世界でも日本でも、パンデミックが起こり、患者数が多いときには、医療崩壊を起こしてしまう。自宅療養を余儀なくされた方には、適切な治療を受けられずに亡くなったかたもいる。一方で、新型コロナのワクチン接種が、世界でも国内でも進んでおり、感染拡大を止めた一因とはなっているだろうが、ワクチンが先行したイギリスなどでは、再度感染拡大が起こっている。またワクチンの副反応はこれまでになく多く、慢性の後遺症まで報告されている。あらためてワクチンの光と影が、今後の検証で明らかになるだろう。