トリブチルスズ、ビンクロゾリン、プロシミドン

トリブチルスズは、1977年に農薬登録が失効し、1979年に家庭用品への使用が禁止、1987年に養漁網への使用が自主規制された殺菌剤ですが、強い環境ホルモン作用や免疫毒性が報告されています。1990年代、日本の近海ではトリブチルスズの汚染が広まり、巻貝イボニシのメスのほとんどに生殖器異常が起こり、ペニスが形成されていた原因として報告されました。動物実験では、哺乳類への環境ホルモン作用が多数報告されています。

 

有機塩素系ビンクロゾリンも1997年に登録が失効された殺菌剤で、男性ホルモン攪乱作用やエピジェネティックな変異を起こすことが報告されています。ビンクロゾリンを妊娠ラットに投与すると、生まれてきた仔ラットでは、精子形成不全や癌、肝機能障害、不安行動などの異常が起こりました。これらの影響は、次世代だけでなく4世代先のラットにまで起こり、その原因はDNAのメチル化の変化によるエピジェネティックな異常だと報告され、世代を超えた影響を起こすことで注目されました。
殺菌剤プロシミドンは、2012年EUでは環境ホルモン作用があるとして登録が失効していますが、日本ではいまだに殺菌剤として使用され続けています。上記以外の殺菌剤も、免疫毒性や腸内細菌叢に異常を起こす報告が多数出ています。