殺虫剤の標的は脳神経系

殺虫剤は脳神経系を標的にしているので、人間の脳神経系、ことに子どもの脳発達に悪影響を及ぼすものが多い。有機リン系、ネオニコチノイド系、ピレスロイド系、カルバメート系、フェニルピラゾール系などについて解説し、新しい論文を紹介する。

殺虫剤の毒性記事一覧

有機塩素系農薬がほぼ禁止になった頃から、比較的分解しやすい有機リン系農薬が主要な殺虫剤として使われるようになりましたが、もともとその開発・合成は古く、有機塩素系農薬と併行して使用されてきたのです。有機リン系殺虫剤の開発中に製造されたのが、類似構造を持つサリン、タブン、VXガスなどの高毒性の毒ガスで、殺傷効果が高いために、極秘裏に軍需用とされました。VXガスは、2017年北朝鮮の金正男の殺害に使用さ...

2021年11月6日 TBS報道特集で、ネオニコの人への毒性について特集番組が放映されました。木村ー黒田は2012年PLOS ONEの論文でネオニコに発達神経毒性の可能性があると示したことを話しました。現在youtubeで動画が見られます。こちらまた番組の概要は以下に紹介されています。こちら

ピレスロイド系殺虫剤は、除虫菊の天然成分ピレトリンを元に、合成された殺虫剤で、種類がたくさんある。農薬登録されているものでは、ペルメトリン、ビフェントリン、シペルメトリン、デルタメトリン、レスメトリンなど.フェノトリン(別名:スミスリン、住友化学の製品)はピレスロイド系殺虫剤だが、農薬登録はされておらず、家庭用殺虫剤、動物用医薬品、防疫用薬剤として使わている。ピレスロイド系殺虫剤の標的は、神経細胞...

カルバメート系(アセチルコリン分解酵素を阻害する)は,アフリカ原産の有毒なカラバル豆の成分をもとに開発された殺虫剤で,低用量で環境ホルモン作用が確認されているカルバリルや,パーキンソン病発症に関わるベノミル(殺菌剤として使用)などの神経毒性の報告が出ている。

フィプロニルとエチプロールは、ネオニコチノイド同様に浸透性で、植物全体に浸透するので、残留すると洗っても落ちない。フィプロニルは、ハチや生態系に悪影響を及ぼすことが判明して、EUでは2017年に登録抹消された。日本で赤とんぼが激減したのは、フィプロニルとネオニコチノイドが原因と報告されている。フィプロニルとエチプロールの標的は、重要な神経伝達物質GABAの受容体。GABAは、昆虫だけでなく、ヒトを...