農薬登録の毒性試験が2019年変更
1. 発達神経毒性
農薬登録のための毒性試験には、これまで発達神経毒性が入っていなかった。
農水省は、平成31年4月以降に、発達神経毒性を項目として入れたことを発表している。
http://www.acis.famic.go.jp/shinsei/index.htm
ただし、△マークがついていて、必須項目とはなっていない。
以下のよう但し書きがついている。
神経毒性や繁殖毒性等の他の毒性試験の結果から、成熟動物又は発達段階の動物に投与に関連する神経学的影響(臨床神経毒性症状、機能/行動影 響、脳重量変化、神経系の奇形、神経組織病理学的所見等)が認められ、発達期の神経毒性を確認する必要がある場合は、試験成績の提出を要す る。
また方法は従来のOECDのもので、脳の高次機能がこれで調べられるか疑問である。
発達神経毒性の試験方法については、ここ10年あまりも議論が継続しており、そのための国際会議まで開かれているが、未だに良い試験法がないのが実態である。
2.内分泌攪乱作用(環境ホルモン)
これまで毒性試験の項目には入っていないが、以下のような文が加えられた。
提出した毒性試験で観察された所見をさらに確認するため、必要な試験成績を提出することが望ましい。(例えば、免疫毒性、内分泌かく乱に関する試験等)
これについては今後、必須項目として入れるよう、農水省に働きかけねばならない。
3.農薬使用者への影響ガイダンス
来年4月以降に新たに入れられる項目として、農薬の人体影響のうち、農業従事者に対する指針が加わった。
これも従来なかったもので、農薬使用者暴露許容量: AOEL(Acute Acceptable Operator Exposure Level) が新たに入れられた。
4.農薬のミツバチへの毒性評価
3と共に、来年4月以降に新たにミツバチへの毒性評価が加わった。
試験方法など、これで十分か否か、今後検証が必要であろう。
なお、農水省のHPに、これらの新しい情報は反映されていないサイトもあり、今後全てに反映してほしい。
(2019年10月11日現在の情報)
www.maff.go.jp/j/nouyaku/n_tisiki/tisiki.html