2018年、米国、カナダの研究者らが有機リン系農薬は子どもの脳発達に危険と警告

米国、カナダの研究者らが公的勧告を発表
胎児期や発達期の子どもの脳発達に有機リン系農薬の曝露は低濃度でも危険で避けるべき
Organophosphate exposures during pregnancy and child neurodevelopment: Recommendations for essential policy reforms
Irva Hertz-Picciotto , Jennifer B. Sass, Stephanie Engel, Deborah H. Bennett, Asa Bradman, Brenda Eskenazi, Bruce Lanphear, Robin Whyatt
Plos Medicine: October 24, 2018 https://doi.org/10.1371/journal.pmed.1002671
米国、カナダの研究者らが公的勧告を発表
胎児期や発達期の子どもの脳発達に有機リン系農薬の曝露は低濃度でも危険で避けるべき
概要の和訳
・ 害虫対策のための有機リン系農薬の幅広い使用は、人間にも広範な曝露を起こしている。
・ 高濃度の有機リン系農薬の曝露は、中毒や死亡を引き起こしており、特に開発途上国では事例が多い。
・ 低濃度の有機リン系農薬の曝露は子どもの認知や行動に異常を起こし、神経発達異常を起こすことは、説得性のある科学的事実により明らかになっている。
世界中の子ども達を有機リン系農薬の曝露から守るために、私たちは以下のことを提案する。
・ 政府はクロルピリホスを含む有機リン系農薬を廃止し、人間への曝露が予想される農業廃水などを監視し、農薬の使用を極力減らしたIPM(Integrated Pest Management 総合的病害虫・雑草管理)を推進するべきである。IPMではアグロエコロジー(持続可能な農業システム)を推進し、農薬が引き起こす疾患の監視を行っていく。
・ 有機リン系農薬の有害性、危険性に関する専門的な教育カリキュラムを、医療教育や医療関連教育コースで行い、患者や一般にも有機リン系農薬の危険性について教育を進める。
・ 農業では、病害虫の管理をIPMにより毒物を使わない方法を開発することを進め、労働者の安全を、トレーニングや毒物があった時の防御法などにより進めていく。


当センターよりのコメント:有機リン系農薬は脳発達に悪影響を及ぼし、自閉症スペクトラム症やADHDなどのリスクを上げると警告。有機リン系以外の農薬、ピレスロイド系も脳発達に悪影響を及ぼすと明記。ネオニコチノイド系については、ハチや生態毒性が高いこと、ヒトの脳への悪影響の可能性もあると示唆。農薬の使用はは極力減らしてIPM総合的病害虫・雑草管理を進めるべきと提言している。

2019年1月、低濃度の農薬曝露がADHDや自閉症のリスクを上げると米国研究者が警告

低濃度でも農薬曝露はADHDや自閉症のリスクを上げると米国の研究者が警告
Pediatr Res. 2019 Jan;85(2):234-241. doi: 10.1038/s41390-018-0200-z. Epub 2018 Oct 8.
Children's low-level pesticide exposure and associations with autism and ADHD: a review.
Roberts JR, Dawley EH, Reigart JR.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=30337670

 

米国の研究者らは、これまでに報告された農薬曝露とADHD、自閉症との関連に関わるヒトの疫学論文のメタ解析を行い、農薬曝露は急性毒性をもたない低用量の曝露でも、脳の発達に悪影響を及ぼし、注意欠如多動性症(ADHD)や自閉症スペクトラム症のリスクを上げると警告した。
農薬の種類では、有機リン系殺虫剤、ピレスロイド系殺虫剤、有機塩素系殺虫剤の曝露との関係が多く報告されているが、ネオニコチノイド系殺虫剤も培養系や動物実験で、ヒトへの影響が懸念されており、ヒトの脳発達に悪影響を及ぼしADHDや自閉症のリスクを上げる可能性を指摘している。